人生毎日夏休み。

一生懸命生きていれば、人生毎日夏休み。

初海外は機内食の思い出。

初めての海外旅行で訪れた国はイギリスである。

あのメシマズで有名なイギリスである。

 

当時の滞在目的は、演劇関係者総勢30人ほどでイギリスでの演劇フェスティバルに参加するためで、滞在中は現地の大学の寮に住まわせてもらい、食事は毎日3食提供されることになっていた。

 

滞在中の食事はこんな感じだった。

 

朝:トースト、目玉焼き、ベーコン、マッシュルーム、焼きトマト、大量の豆

毎日、寮の食堂でいただいた。薄くて固焼きにされたトーストをかむのに疲れた覚えがある。食堂のおばちゃんが皿へ山盛りにする豆を前にリタイア者多数。私は魔法の言葉「ノービーンズ、アレルギー」で回避。なおこのメニューで一番おいしかったのはトースト用のバターである。

 

昼:サンドウィッチとオレンジジュース(フェス会場で提供される)

サンドウィッチの種類は2種のみ。すなわち「ハム&チーズ」か「キュウリ」である。チーズはチェダーチーズでおいしかった。キュウリはなぜサンドウィッチの具材として堂々としていられるのか未だにわからない。ジュースは果肉感たっぷりなのに味は水のようで、これなら「いろはす みかん」の方がまだオレンジジュースに近かっただろう。

 

夜:イタリア料理かスペイン料理の店に行く

どのお国の料理もその国の人が調理しているとは限らないのです。私は生まれて初めてひどいパスタを食べました。どうやったら失敗できるのパスタ茹でてソース作って和えるだけだよ。そして大皿に山盛りのオリーブの実を残しました。マティーニ100杯分のオリーブがあったかと思います。

 

文句を言いながらも、私は食べた。食べられた。この経験により外国食に対するハードルが下がった点だけはイギリスに感謝していいところかもしれない。

 

ところで、初めての海外旅行であることに加え「イギリスの食事はおいしくない」という不安から、私のスーツケースには邪魔くさアイテム・食料品がギッシリと詰め込まれていた。

カップラーメン、インスタント味噌汁、粉末の緑茶、カロリーメイトの類を、1日3食、日数分。

食料持参の旅行なんて今考えるとありえないけど、それぐらい外国での食事に不安を感じていたという表れであったのだろう。旅行用品専門店にもインスタント味噌汁持参のススメなるポップが踊っていたし、出国前から脅迫されていたような心理状態だったのかもしれない。

しかし、これらの出番は私にはなかった。私の舌はいい舌なのか悪い舌なのかわからないが、まずは初戦で勝ったのだ。

私が食べなかった日本からの持ち込み品は「イギリス料理リタイア者の集い」に供され、夜な夜な寮の一室で開催されていた「日本食パーティー」に花を添えていた。また、お世話になった現地の大学生へもその一部が渡された。インスタント味噌汁に興奮する彼らを見て、イギリスに食の向上を求めるのはどのタイミングならいいのだろうと思ったりもした。

 

さて、当時使った航空会社はブリティッシュ・エアウェイズであった。往路はワイワイと騒ぎながら12時間のフライトを過ごしたが、帰路につく頃には皆疲れ果て、グッタリとしていた。フライト中は寝て過ごしたが、着陸の2時間前になると、機内食があるということで皆モゾモゾと起きだした。機内食は「そろそろ日本に着くぞ」というサインであり、期待の表れでもあったのである。

 

少々お考えいただきたい。

ヨーロッパ便で2回目に提供される機内食は朝食。

ブリティッシュ・エアウェイズ。イギリス。朝食。

 

奴らが出てきた。大量の豆も一緒だ。

 

私の舌はここにて敗退。この旅行最大のガッカリが、最後の最後に待っていた。

 

なおこの経験はXX年前のことであり、現状と同様のことではない(と信じたい)ことを申し添えておく。