人生毎日夏休み。

一生懸命生きていれば、人生毎日夏休み。

なぜか池上。

東京都大田区池上本門寺ではなく、台湾台東県池上郷の話である。

結論から言うと、私は池上にはまった。これはもはや沼だ。沼上だ。いや池上だ。

「なぜか埼玉」がさいたまんぞうなら「なぜか池上」はいけがえみりーである。

そうだ、池上に行こう。

 

 

 

 

よく知らないまま池上

初めて池上を訪れたのは2017年と最近のことだが、なぜ池上に行こうとしたのかはとんと思い出せない。当時の予定は日本から台北入りし花蓮まで飛行機で移動、その後は台鐵でひたすら移動して高雄から帰国する。その鉄道での道中でどこかに寄りたい、の「どこか」に偶然はまったのが池上だった。池上便當(弁当)という食い意地の張るキーワードや金城武の樹というミーハー心をくすぐるキーワードに何かが反応したのだと思う。

なお、池上はこのあたりに位置する。

 

goo.gl

 

 

小さな町だぞ池上

池上の街は、ざっくりと分けると駅の南側エリア、北側エリアで構成されている。

駅の改札は駅舎南側に面しており、鉄道で池上を訪れた人の玄関口となっている。駅舎を背にしてまっすぐ伸びている中正路を軸に、左右に伸びているのが手前から鐵花路、中山路、新生路、忠孝路、仁愛路、信義路、以上だ。信義路に突き当たると、その先に広がっているのは青い空と遠くの山々である。

駅周辺のお店は、まず貸し自転車屋と便當屋が目に入ってくる。そして池上は保養地としてもそこそこ人気らしく、日本人は見たことがないが台湾人と中国人はいつ行ってもそこそこいる。そうした観光客を相手にする店が駅前にいくつかある。池上飯包文化故事館なる池上米をテーマにした施設もあり、池上便當を買うこともできる。

他の主な商業施設は、農協とスーパーマーケットとセブンイレブンファミリーマート。朝市もあり、リアルな新鮮なお肉を物色することもできる。また、個人経営のこぢんまりとした飲食店もいくつかあり、どこも非常に居心地が良い。

駅の北側へ行くには中山路を西へと進み、静修路から静安路へアンダーパスをくぐり抜けるか、中東三段から中西三段へと踏切を越えるかする。ややこしい。通りの名前が途中で変わるのに未だに慣れない。その先に広がるのは住宅街で、小学校といくつかの寺院がある。そして私の定宿もある。宿といっても住宅街にある普通の一軒家の1室なんだけど、それがまたいいのだ。

なお、池上夜市なるものがあるらしいが、滞在日の都合により、私はまだ1度も行ったことがない。今年の夏は2泊3日ほど池上に滞在する予定なので、池上夜市を見ることができる。どローカルの夜市がどのようなものなのか、非常に楽しみである。

 

観光するぞ池上

池上の観光名所は、前述の金城武の樹、池上飯包文化故事館、池上伯朗大道などがあり、これらは町の南側に位置する。

金城武の樹と伯朗大道へは宿泊施設か駅前で自転車を借りてアクセスするのがポピュラー。駅前で屋根付きの2人乗り電動自転車をレンタルすると1日500元ほどするが、暑い中ヒーコラ言いながらペダルをこぐ必要がなく、非常に便利である。

このタイプの自転車は横並びで座るタイプで幅があるので堂々と車道を走らなければならない。街中は普通に車が走っており、自転車道に行くためには比較的交通量の多い道を通らねばならず、加えて台湾は車両は右側通行なので、運転するのに慣れるまでちょっと怖い。でも慣れると本当に快適。

そして各所で撮った写真がこれだ!

 

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これは4人乗り自転車。2人乗りも似たような見た目。

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金城武の樹は大人気。

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伯朗大道の先には”映える”フォトスポットがある。

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日差しがまぶしい。

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どこまでも透明で吸い込まれそうである。

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池上飯包文化故事館の一角。レトロな雰囲気。

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フルーツを売るおばあちゃん。

 

だから池上

私は埼玉生まれ埼玉育ちで、親戚もほとんどが県内に住んでいる。育った街は都心のベッドタウンとして栄え、小学生の頃は転入生が多くいた。そうしてやってきた同級生たちは、夏休みのたびに田舎へと帰る。聞かされる土産話は、釣りに行ったとか、スイカ割りをしたとか、花火が綺麗だったとか、もちろん埼玉でも経験できることなんだけれど、「田舎に帰って」という補正もあり、彼らが実に羨ましかった。そしてそれを経験できない、少し寂しい自分。

あの夏、私が欲しかった夏休みは、池上にあった。

どこまでも続く水田と水路、そびえる山々、突き刺さるような日差し、心地よい木陰、全てを吸い込みそうな空。派手に買い物をする場所はないけれど、不便なわけではない。散策に疲れた時は宿でテレビを見ながらのんびり過ごし、お腹が空けば牛肉麺を食べに出かけ、帰りはパパイヤミルクを買って帰る。私にとって完璧な夏休みがここにある。

あの頃の自分は理想の夏休みを過ごせなかったかもしれないが、大人になった今、幸いにも自分の稼ぎで好きなように「夏休み」を過ごせるようになった。生きててよかった。

 

私は今年も池上に帰る。叶うならば来年も、そして再来年も。

 

 

 

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おまけ:池上にある私の部屋。